ブックヨミヨミの読書感想ぶんぶん

雑食系の読書感想文!

斉藤洋 『童話作家になる方法』をヨミヨミ。

こんにちは!

ブックヨミヨミです。

 

今日は

斉藤洋 著

童話作家になる方法』

について書きます。

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みなさんは子供の頃に

大好きだった童話の本って覚えてますか?

 私ははるか昔すぎて全く覚えてません!

 

大人になって

「100万回生きたねこ」

しろいうさぎとくろいうさぎ

を読んだ記憶があるくらい…。

 

20代中盤に、もはや人生に疲れ果て、

「ああ、はやく結婚して仕事辞めたい…」と

思ってました。

 

折れた心を慰めるべく、

愛する心に夢を感じさせてくれるこの2冊を

読んでいたんですよね…(しみじみ)

 

失礼ながら、著者の斉藤氏の

本を読んだことがありません。

特段、童話ファンでもありません。

 

なのに、なぜ、

この本を読もうと思ったのか?

私にとってはかなり重要なポイントなのです。

 

私がこの本を購入した動機を、

「童話」と「作家になる方法」

に分けて語ってみたいと思います。

 

 

〇「童話」について

 

 小学生の低学年の頃、

 自主学習でテーマ問わず好きな事を勉強して良い

 という宿題方式があった。

 

 たくさん勉強しているように見せたい私は、

 ノートのページ数を稼ぐために創作童話を

 書くことにした。

 (姑息だったんですよね…)

 でんでんむしと雨と絵具の話を延々書き続た。

 

 先生はいつも赤ペンで三重丸を書いてくれたっけ…。

 子供ながらに先生は仕方なくつけているんだよなって

 思ってました(爆)。

  

 小学校4年になると、

 学芸会の舞台で、自らで脚本かつ主演をするという

 大胆な行動に(爆、爆)。

 

 「チップとリリーの物語」というリスのお話でした。

 全くもって自己顕示欲モンスターでした…。

 今の私とは別人ですわ。

 

 この頃までは自分に自信があったんですよね。

 成績もよかったし、運動以外は何でもできる

 と思っていました。

 (運動音痴でしたのよ…)

 

 「童話」に関するノスタルジックな思いは

 こんな過去から発生していました。

 ロング・ロング・ア・ゴ―

 私は童話(らしきもの?)を書いました。

 

 

〇「作家になる方法」について

 

 小学校5年生以降になると

 だんだんと自分のことを

 「ダメな奴」だと思うようになっていくんです。

 

 そのころ同じクラスになった

 〇〇ちゃんが才能あり過ぎたことで、

 初めて自分の無能さを思い知ったのでした。

  

 成長していく過程で環境や人間関係も変わる。

 子供の頃の記憶は遠ざかっていく。

 それなのに、

 「ダメな私」と感じた思いは

 より強固になっていく。

  

 あるセルフコーチングの本を読んでいて、

 その本に書かれた自らが行うワークで

 「過去に人に褒められたことを思い出して」

 というものがあった。

 

 なにがあるんだっけ?

 すぐには思い出せない。

 

 「せっかく本を読んでるんだし

 このワークをちゃんとやってみよう」

 と奮起し、なんとか記憶を掘り起こして、

 褒められたことを思い出して見た。

 

 そしたら、見つけた。

 ささやかだけど、あった。

 褒められたこと。 

 

 小学校6年生の時に一泊二日で修学旅行があった。

 行先は県内でお泊り会みたいなものだった。

 

 その時の感想文がクラス代表に選ばれて、

 お昼の校内放送で朗読発表したことがあったのだ。

 

 今となっては何を書いたか覚えていないし、

 内容は起こった事の羅列でつたないものだったはず。

 ただ、日ごろと違う楽しい体験を書いたので、

 スピード感というか勢いがあったと記憶している。

 

 それがどうやらウケたらしかった。

 違うクラスの知り合いの子から

 他クラスや他学年の先生まで、

 「面白かったよ!!」

 と、声をかけてもらった。

 

 当時の私はポカーンとして不思議な気分だった。

 作文としては良い出来でないと思っていたから。

 

 だいぶ大人になって思い返した時に、

 「あれは褒められていたんだよな」

 と認識した。

 

 この小学6年生の記憶を1つ目として全部で3つ

 文章で褒められたことを思い出した。

 

 2つ目は短大の時。

 当時の私は英語科で英文学の講義を取っていた。

 ある作品の感想を課題に出された。

 その課題が担当教授に褒められた。

 

 成績の評価時ではなく、

 卒業懇親会の夜に言葉をかけてもらったので、

 私としては印象に残っていた。

 

 3つ目は社会人の入社4年目。

 その頃に全国の関連会社の若手が集まる

 勉強会兼交流会があった。

 その時の報告レポートが褒められた。

 

 いつも仕事が遅い私を怒っている先輩が、

 珍しく「良く書けてたな」と言ってくれた。

 普段の仕事ぶりからすると意外だったという

 口ぶりだった。 

 うれしい反面、その褒められ方に

 自分の不甲斐なさを感じた方が大きかったが…。

 

 そんなことがあり、

 「もしかして、私、文章書くの合ってるかも」

 と、思ったのだ。

 

 「作家になる方法」に引っ掛かったのは、

 文章書くことに興味があるから。

  

 過去に褒められたことがあるからといって、

 「上手」などと思ってませんよ。

 「へたっぴー」の自覚は悶えるほどあります。

 

 ただ、気持ちを伝える場合、

 私は話すより書く方がとてもしっくりくる

 と自覚したんです。

 

 ブログを始めたのは、

 「書くことが好きかも」と気付けたから。

 ブログタイトルも私の原点である

 「感想文」を入れたかった。

 

 

当書を読んだ動機について、

ずいぶんと長い 昔ばなしになってしまいました。

 

さて、やっと本題の当書の内容についてです。

(前が長すぎですね…)

 

以下、目次抜粋です。

 

◆----------------------------------------◆

プロローグ あなたも童話作家になるかもしれない

1章 デビュー作『ルドルフとイッパイアッテナ

   ー作者によるイントロダクションー 

2章 童話作家デビューへの道

   -「独創的な物語」を目指さないー

3章 物語作りはテーマよりまずプロット

   -あなたが説教されるのがいやなら、

    それ以上に少年少女は説教が嫌いであるー

4章 児童書をめぐる舞台裏

   -傾向と対策はどの世界にもあるー

エピローグ 運命が扉をたたくときに 

◆----------------------------------------◆

 

著者の斉藤洋氏は、ドイツ文学者で

亜細亜大学経営学部教授をされていて、

児童文学作家という肩書を持っている。

 

当書の題名ズバリの

童話作家になる過程がとても面白い。

 

以下、著者が童話作家になる過程の要約です。

 いつ首になるかわからない不安定な身分の

 非常勤講師だったころ、

 偶然見にした新聞の講談社児童文学新人賞の

 記事を見て応募しようと思い立つ。

 ドイツ文学者の素地をいかんなく発揮し、

 デビュー作の『ルドルフとイッパイアッテナ』を

 書き上げる。

 そして、受賞へ!!

 

もう、この流れそのものが作品だ。

すごくワクワクしながら読んでしまった。

長い間ノンフィクション系の本ばかり

読んでいた私には、とても新鮮だった。

 

とはいえ、当書はフィクションではない。

著者の体験談と出版業界(児童文学)の

内幕、作家の金銭事情まで赤裸々に書いてある。

 

でも、どこかが違う。

所々に毒吐き(本音)の独白が入ったり、

場面の描写がいきいきしていたり、

関係者との会話のやり取りが書かれていたりと

文章が呼吸をするようにとてもやさしい。

 

あとがきまで217ページと

薄くて読みやすい本のはずなのだが、

どうしようもなく豊かに感じた。

 

私はシステムエンジニアという仕事柄、

論理的な文章に接する機会が多い。

読書対象の本もその傾向が強いジャンルが多い。

 

膨大な情報量が整理され、

理解しやすく齟齬が起らないような

機能的な文章が通常運転だ。

(私がそのような文章を書けるかさておき…)

 

当書を読んでる最中、

思考がふわふわ拡大して

様々な場面が脳内に浮かんだ。

 

黒猫、ペンギン、孫悟空、おばけ、

押し入れ書斎、編集さんとのファミレス、

女性の画家さんに挿絵をお願いする喫茶店

おっさん二人(著者と編集者)でいく動物園

 

どこに行くのかわからない

散歩に出かけているようだった。

とにかく、楽しかったのだ。

 

久しぶりに自由な気持ちで

こう思った。

「本をよむって、たのしいな」

 

もちろん、題名に違わず

話の筋を作るテクニックや

デビューするための具体的方法も

しっかり書いてある。

文章を書く上で参考にするつもりだ。

 

当書はきっと何度も読み返すと思う。

きっとその度にしみじみ思うだろう。

 

「文章を書くって、たのしいなぁ」

「本を読むって、たのしいなぁ」

 

  

 

PS

 

当書は講談社から出版されている。

著者のデビューが講談社児童文学新人賞の

受賞がきっかけだから、関係は深いだろう。

 

私のウォーキングコースの1つに

護国寺界隈を歩くコースがある。

ちょうど講談社の前を通るのだ。

 

地方出身者の私としては、

「ああ、これが講談社なのね…」

と、毎度感慨深く建物を見上げる。

 

宣伝用の巨大な幕が垂れ下がっていて、

それの大体がアニメ化されたマンガか

人気のライトノベルだ。

 

道路に面して本のショーケースがある。

その時々で、新刊がどんな本か、

どんな本がプッシュされているか

わかって興味深い。

 

道を挟んで向こう側には、

著者が受賞後打合せをしたであろう

ファミレスが見える。

 

ごくたまに

そのファミレスで食事をするのだが、

作家さんか編集さんだろうと思われる

作業をしている人を見かたことがある。

 

これまた、いなかもんは、

「ここは東京なんだ…」と、

しみじみ思うのであった。(笑)