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雑食系の読書感想文!

コナリミサト 『凪のお暇』をヨミヨミ。

こんにちは!

ブックヨミヨミです。

 

今日は

コナリミサト 著

『凪のお暇』

について書きます。

 

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漫画です。

エレガンスイブで2016年8月号から連載中のようです。

第23回手塚治虫文化賞マンガ大賞にノミネート

されています。

まさに、評価されている旬な作品と言えます。

 

正直、絵が「ちょっと…」っと躊躇するほど

好みではありませんでした。

(おおざっぱ?なかんじで…)

美麗な絵が好物なので。

 

たまたまwebの試し読みで暇つぶしに読んで、

「なにこれおもしろい!」ってなりまして、

紙媒体で出ている分全巻買いました。

 

1巻目の概要としては以下です。

 

主人公の大島凪は28歳のOL。

気が弱くて自己主張が出来ず、

唯一の趣味は節約で料理が得意。

超くせ毛が恥ずかしくて、

一生懸命ストレートにセットしている。

 

いつも周りに気を使い空気を読んで、

同僚から利用されマウンティングされても

波風立てるのが怖くて

じっとこらえて笑顔で対応する。

 

唯一の心の拠りどころは

人気のある営業部のエース社員の恋人。

マウント同僚に対し、

主人公が密に優越感を感じてたこと。

 

しかし、ある日、

その恋人が主人公と身体目当てで付き合っている

ということを、同じ営業部の仲間に喋っている

ところを偶然耳にしてしまう。

 

そのことにショックを受けて過呼吸を発症。

今までの自分と自分の人生がイヤになり、

恋人と別れ、会社を辞めて財産を処分。

 

イケてるタウン三軒茶屋から

庶民的な立川へ引っ越して

新たな人生をやりなおすことを試みる。

 

と、

奮闘記になるわけです。

 

この作品に良いなと思っている点は、

今の日本社会の閉塞感、生き辛さを

上手く表現出来ているところです。

 

日本社会では脅迫的な同調圧力が蔓延し、

自分にとって本当の幸せがどんな状態なのか

わかっていない人が多いように思います。

 

「幸福」の基準は、

誰かがほめてくれるか、

誰かが喜んでくれるか、

誰かがうらやましく思うか。

他人評価スケールではないでしょうか。

そのことを意識さえしていない。

 

自分の本当の幸福がわからない人間が

構成する社会では、

他人への関わり方も上手に出来るとは思えない。

 

この作品の登場人物も、

それぞれの思い込みや価値観で

勘違いした接し方をして互いを傷つけあう。

 

この状況が、

読者にとってはなんともリアルに感じます。

読者自身が過去にあった苦い記憶を

思い出すことになると思います。

いや、

現状と重ねることの方が多いかも。

 

そんな重苦しい閉塞感と重圧感を、

主人公の凪は跳ねのけて行こうと

もがき苦しみながら行動します。

 

不慣れな状況で、時に愚かな選択をしたり、

傷ついてどん底に落ち込んでいる姿や、

立ち直る為に突飛な行動に出たりするのは、

主人公史上なんとも情けない。

 

でも、

正直に生きて行こうとする主人公のひたむきさに

「ばかだな~」「あり得ん…」

と、思いながら応援したくなります。

 

要領よく生きて、周りのみんなが評価してくれることが幸せか、

自分のあるがまま求めるがままに生きていけることが幸せか、

人生の最後になった時、どの人生が最高だったと思えるか。

 

この作品は、

マンガとしてのエンタメ的な面白さを楽しみながら、

人生の在り方に深い問題提起をしているという、

ユニークな作品だと思います。

 

さて、

主人公の凪は何を選んでいくのでしょうか。

 

 

追記:

5巻から登場するかわいくて仕事もできる

25歳営業の女子。

主人公の元恋人を挟んでライバル関係に

なりそうです。

この人描写が新鮮でした。

容姿がかわいいことで、

仕事として努力していることが評価されず、

追い詰められていることが描かれていたからです。

同じ職場でも順風満帆でストレス皆無みたいな人いますよね。

どんな人間でも、悩みや理不尽さを抱えているものだと

改めて思いました。

と同時に、

こんなふうに人物を描く作者は、

よく人を見ているなと感心しきりでした。

主人公以外でも登場人物の心情表現のリアリティが

共感を呼んで、この作品の魅力となっていると

思います。