ブックヨミヨミの読書感想ぶんぶん

雑食系の読書感想文!

中野信子 『努力したら負け。』をヨミヨミ。

こんにちは!

ブックヨミヨミです。

 

今日は

中野信子 著

『努力したら負け。』

について書きます。

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この本もだいぶ前に読んでましたね。

再読です。

 

「努力したら、負け。」って

えー、うそでしょうっていう題名ですよね。

 

私はエンタメ(映画、ドラマ、漫画、アニメ等々)では、

結構、努力して這い上がっていく系好きですよ。

 

主人公がガッツポーズでやったーと叫ぶ。

勝利の喜びをかみしめながら、今までの苦労を振り返り

涙する…。

 

よく頑張ったね~、良かった、良かった。

主人公を称え、共に涙する。

(結構よく泣きます私…)

そんなお話を支持すると多いと思います。

 

し・か・っし!

本の表紙で言い切っています。

「努力は報われないー」

 

著者の中野信子氏は東大卒の脳科学者。

執筆も本書以外に多数ありますし、

テレビに出ていることもあり、ご存知の方も多いと思います。

 

そして人口上位2%の知能指数の人のみが入会を許される

メンサという高IQ団体に所属しています。

大変優秀な方だとの認識でいます。

 

『「努力は報われる・報われない」論争の終止符』と

表紙カバー裏にあります。

 

読み進めていると、結構ショッキングな内容です。

以下、気になった目次の抜粋です。

 

・受験の合否は遺伝子で決まる

・努力は人間をダメにする

・努力すると洗脳されやすくなる

ニートは日本が世界に誇る資源

・役に立つことしかしない人間は家畜と同じ

・努力家は野蛮人

・勤勉・誠実な人ほどドス黒い感情が…

・努力家は他人の才能を潰す

 

「努力」を全力でディスってます。(爆)

 

「努力」は美徳。

「努力」は成功の絶対条件。

 

常識的な社会人たるもの、「努力」するのは当然。

常識的な社会人たるもの、「努力」するのは義務。

「努力」せざるもの、人にあらず。

 

日本社会の頂上から底辺まで、

蔓延している「努力」信仰。

 

日本人、洗脳されまくってます。

その結果、搾取されまくってます。

そのメカニズムをわかりやく解説しています。

 

私たちが搾取されないためには、

まず、「努力」に対する認識を改めることが必要なようです。

 

「自分はこれだけ正しいことをした」と思っている人は、

他で倫理的に悪いことをする傾向が高いという研究があるようです。

 

これは、すごく合点がいきます。

 

例えば、部活や会社でパワハラ

自分がすごく努力(正しい行い)したから、

目下の者に対して非倫理的な迫害を行う。

 

「努力」は脳の内側前頭前野という部分に快感を生み出し、

同時に高ストレス状態にして判断力を奪うようです。

「努力」=「奴隷」の構図見て取れます。

 

以下、本書の抜粋です。

 

「努力という言葉は人を縛り、無料、あるいは安価な労働力として使いたい人が

 用いるブラックなレトリックなのです。

 真の努力とは、本当に目的を達成したいのであれば、

 広義の努力ー適切に目的を設定し、戦略を立て、実行することです。」

 

努力家は野蛮人の項目で、

「無駄な部分への視線がない人は、人を傷つけることを厭わないものです。」

とあります。激しく同意です。

 

また、日本人の努力に依存する傾向は、

遺伝子によるところも大きいようです。

 

セロトニンという幸せホルモンがあります。

セロトニンを取り込む機能のセロトニントランスポーターが

少ないタイプが日本人の7割だそうです。

 

日本人の大半が心配性だから、努力して脳内に快感を生み出し

不安を解消する…

今の日本の国の在り様がなるべくしてなったように思われます。

 

興味深かったのは、傑出した才能は生存に不利という項目です。

優秀な人が集団に一人いる場合、その人が特別扱いされ、

その他の協力構造にただ乗りする状況が起きてしまう。

その不平等さに協力体制が崩壊してしまうという話でした。

 

研究者ならではの切り口で、常識を突き崩していきます。

歴史的観点から社会問題まで驚きの視点で語られています。

 

本書は「努力したら負け」とのタイトルですが、

「努力」の正しい定義付けを促していると思います。

前提が間違っていては、結果が出ないからです。

 

結果を得るためには目標を定め、戦略を立て、行動する。

精神論ではなく、誰かに搾取されたりしない、

自分の幸せの為に行う行為こそが本当の意味での努力といえそうです。

 

誰だって、夢をかなえたい、幸せな人生を送りたいはずです。

死の間際に人生を振り返った時の後悔で最も多かったのが、

「あんなに一生懸命働かなくてもよかった」と本書に書かれています。

 

私たちは、もっと自分に正直に生きていったほうがよさそうです。

自分だけでなく、周りの人の為にも。

ささやかなようで、

世界を揺るがす大きな選択なのではないかと思います。

 

がんばっているのに報われていないと思っている方。

幸せに生きていくヒントを得たい方。

 

本書を読んで見て下さい。

 

目からウロコ!になれば、

きっと次の扉が開かれるはずです。