ブックヨミヨミの読書感想ぶんぶん

雑食系の読書感想文!

もんでんあきこ 『エロスの種子 1』をヨミヨミ。

こんにちは! ブックヨミヨミです。

 

今日は

もんでんあきこ 著

「エロスの種子 1」の感想です。

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漫画です。

題名から察する通り、大人の漫画です。(笑)

グランドジャンプPREMIUMに連載されていたようです。

 

作者のもんでんあきこ氏はお名前は知っていましたが、

今回初めて作品を読みました。

ネットでちょいちょい見かけていたので、

紙媒体が出たら買おうと思っていました。

 

私は美しい女の人の絵が大好きです。

ミュシャは言わずもがな、ロセッティやクリムトなどが

描いている女性。

 

官能的で肉感的で挑戦的で神々しい。

そしてちょっぴり敗退的な香りがする女。

 

しなやかな肌の質感、豊かな腰回り、ふくよかな指の表情、

これらを見て同性でもうっとりしてしまいます。

 

ファム・ファタール」という言葉があります。

男にとって運命の女。男を破滅に向かわせる悪女。

そんな女性は抗いがたい引力がある。

 

よく知られたところでは、

サロメクレオパトラ楊貴妃

ああ、日本ではかぐや姫もかな~。(貢がせた挙句、とんずら)

 

そんなファム・ファタールのような女性が登場する

「エロスの種子 1」は、短編4話が収められています。

1話目:因果

2話目:人形

3話目:ジゴロ

4話目:マリーゴールド

 

1話目は大学生と下宿先の教授夫妻とのお話(多分戦前)

2話目は戦時中後にお妾さんとして生きていく少女のお話

3話目は母親の愛人と娘のお話

4話目はストリップ劇場の支配人と踊り子のお話

 

おお、設定書いて思わず官能小説フラ〇ス書院の各種タイトルを

思い出してしまいました(笑)。

 

作品は確かにエロチック。ですが、品があります。

先に挙げた絵画のように。

 

今回、読みたい!と思ったのは絵からです。

とても魅力的でした。男性の絵が良かったのです。

1話の下宿先の大学教授の癖のある美しさに惹かれました。

(散々、女性の絵の話をしておいてーと思われるかも。

 要は、美しく官能的な絵が好きって事です。)

 

「漫画大国」とし君臨している日本。

私も漫画を長年読んできていますが、

こんなに漫画の表現が進んだ国はあるんだろうかと思います。

 

だいぶ前になりますが、

萩尾望都氏の銀の三角を読んでびっくりしました。

もう、これは私の知っている「まんが」じゃない。と。

 

「文学」と同じく、「漫画」という一つの文化のカテゴリーに

昇華しているのだと思っています。

 

新人の作家さんでもとんでもなく絵や表現方法が上手かったり、

心情の切り取り方がえげつなかったり(ほめてます)。

日本の漫画スキルはどんだけアップし、かつ、蓄積とるんやー

と思う今日この頃。

 

玉石混合、新人ベテラン入り乱れての百花繚乱のこの現状は

なんと幸福なことか。。。(うっとり)

 

こんなに作家層が厚いなか、

男性作家の方が女性誌に、女性作家の方が男性誌に書いたりしているのは

興味深く思います。

 

作者であるもんでん氏も男性誌へ進出したベテラン。

短編1話毎にめくるめく世界を表現していて、

その力量に圧倒されました。

 

人間がどうあがいても取り出す事が出来ない、

身体に埋め込まれた小さな種子。

 

この種子に翻弄され不幸に見舞われながらも、

でも、そこに自分の存在意義を見出す男達が

なんとも憐れでなんとも至福。

 

私は4話目のマリーゴールドが一番気に入りました。

 

踊り子の官能的な舞台。決して美男ではない男の表情。

苦労し続けた男の人生に輝く金色の花を咲かせた女。

 

読み終わって、胸が痛くなりました。

まさか自分が泣くとは思いませんでした。

 

きっと、酸いも甘いも味わった大人なら

感じる何かがあるはずです。

 

帯にはこう書かれています。

「つらい日は、大人の漫画を読んで寝る。」

 

今日は、切なさと幸福感に包まれて眠りたいと思います。